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ブレイクノット:職人のこだわりが冴えわたる職人発信の革小物ブランド
1961年に香川県東かがわ市で創業したルボアは、元々は手袋メーカーだった。そもそも東かがわ市は全国シェア90%以上を誇る革手袋の産地。ルボアは沖縄が日本に返還された1964年にコインケースを販売したことをきっかけに革小物にシフトチェンジしたが、もちろんその技術は継承されている。知らない人も多いかと思うが、革業界では手袋をつくる職人はとりわけ技術力が高いといわれている。それは使われるミシンの扱いが難しく、つけ心地をよくするために内側の縫い代を非常に細く仕上げているからだ。
ブレイクノットでは手袋もつくることができる特殊なミシンを採用している。一般的なミシンと違って生地が動かないように押さえるパーツも細く、しかも縫い代のギリギリを縫えるように気持程度しか押さえない。そのため美しく仕上げるにはかなりの技術力を要するが、縫い代がない分、コンパクトな革小物をつくれるようになるのだ。
マチがついている状態で縫い上げる最終工程に、腕ミシンを採用しているのもブレイクノットの特徴。これはコの字型の特殊なミシンで、主に鞄などの立体的な製品の縫製に用いられるもの。真っ直ぐになるように自分の手で押さえ込みながら感覚でミシンを押していくため、腕利きの職人でしか扱えないという。ちなみに在籍している30人の職人のうち、腕ミシンと手袋用ミシンを完璧に使いこなせる職人はたった3人。それだけ高い技術力を要するミシンでつくられているということだ。
さらに全製品に採用されている強度の高いポリエステル製の糸は、ライターなどで熱を加えて玉にしてほつれ留めをおこなう。一見すると簡単に思うかもしれないが、一つひとつやるとなると相当の労力がかかる。時間がかかる作業も手を抜くことなく丁寧に仕上げていき、ブレイクノットの製品は完成するのだ。まさに職人の技術力とプライドの賜物ともいえる。
ほかのブランドと違ってデザイナーがいないことは、もしかしたら欠点になるかもしれない。だが、ブレイクノットの職人たちは、これまで何千個という革小物をつくってきた実績がある。しかも自分たちがチャレンジしたことがないモノをつくりたいという向上心もある。実際に製品を手に取ってみると、端正なルックスとは裏腹に機能性や実用性が高いことに驚かされるだろう。たとえば、左利き仕様の財布という発想は、職人じゃないと思いつかないところでもある。
また、ほかでは見たことのない小銭入れのデザインを長財布に取り入れるなど、職人たちの遊び心が反映されているのも見どころ。職人たちの経験と技術を結集させた、こだわりの革小物を発信しているブレイクノット。これから発売されるモデルにはどんなアイディアが盛り込まれるのか、今から楽しみだ。
ブレイクノットで、最大で8ヶ月待ちになるほど人気を集めているモデルがある。それが2019年に発表し、ブランドのアイコンにもなっているミニ財布「ミニット」だ。二つ折り財布では珍しい縦型を採用しており、コンパクトなサイズ感ながらも収納力や使い心地にも優れている。ちなみにお札は約20枚、カードは5〜6枚、小銭は30枚ほどが収まるという。
使用している素材は、日本最高峰と名高い栃木レザーの牛革。使うほどに手に馴染んでいき、さらには美しい艶が生まれるという革ならではの経年変化も存分に楽しむことができる。シャツの胸ポケットにも収まるほど小さいので、キャッシュレス派や休日は手ぶら派という人にもおすすめだ。