Knowledge: Ladies' Shoes

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レディスシューズ:デザインだけではない、 婦人靴の選び方。

レディスシューズデザインだけではない、
婦人靴の選び方。

良い靴の条件とは。知っておいて決して損のない、ひと目でわかるポイントを解説しよう。

2009年発行 「日本の革 2号」より

紳士靴以上に神経質にならなければならないもの、それがヒールだ。ヒールが高ければ高いほどエレガントに見えるが、道具としての機能性は低下していく。
紳士靴の項で解説したあおり運動は血液を循環させるポンプの役割がある。高すぎるヒールは踵をきちんと落とすことができないので、必然、その運動が未熟となる。足が冷えるなどの女性特有のトラブルは、履物が大きく起因しているのだ。

カウンターの有無を調べる

踵を安定させるにはヒールともうひとつ、サイドから包み込むカウンターの完成度も見逃せない。甲を覆う部位が圧倒的に少なく、踵を持ち上げるデザインが多い婦人靴にとって、カウンターは前にすべる足を食い止める唯一といっていい存在だ。こちらも紳士靴以上に、踵をホールドする芯材が入った一足を選びたい。

ヒールの水平を確認

紳士靴においても地面に対してヒールが平行で、安定していることが肝要だが、その重要性が比較にならないほど高いのが婦人靴だ。ヒール底面の接地角度は言わずもがな、トップリフトの取り付け具合や、インソールの踵を乗せる部分を上から押したとき、ぐらぐらと揺れるようなことがないかも確認したい。

ヒールの高さがキモ

適度な高さのヒールは歩行をサポートする役割をもつ。その目安は3cm。デイリーに使うのに問題なしとされるのは5cm程度の中寸といわれている。もちろん高さだけではなく、安定感のためには太さも必要だ。7cmを超えるようないわゆるハイヒールは、シーン、使用時間を限定して履くべきだろう。

つま先を見る

足は歩行の際、地面をつかむように伸縮する。その動作を妨げない靴は、つま先にゆとり(=捨て寸)があり、かつなるべく丸みのあるフォルムがいい。女性の靴は構造上、どうしても足が前方に滑りやすいので、やはり紳士靴以上に慎重に確認したい。捨て寸の目安は1cm程度。

踵部のすわりを確認

サイドから見たときのインソールのシルエットが直線的だと、ヒールが高くなればなるほど滑り台のように足が滑ってしまうのは道理。安定したヒール、踵を包み込むカウンターともうひとつ、チェックすべきポイントは踵がお椀のように包み込まれるシルエットか否か。実際に履いて、踵に重心が乗るかも確認したい。


タイプで選ぶ

安定した歩行には婦人靴に欠かせないヒール選びを慎重に行うことが大切だが、甲革の意匠、つまりデザインもまた、軽んじてはいけない部分だ。
単純な話、足が靴にホールドされれば安定するわけで、いかに甲を覆った形状を有しているか、がポイントになる。このセオリーに則るならば、ブーツはもっとも安定性が高い。次に高いのがパンプスだが、トップライン(履き口)が例えば指股がのぞくほど浅いタイプは安定性にかける。ご推察の通り、サンダルのアベレージは低い。
デザインによっても履き分ける習慣を身につけることが何よりだが、チェックすべきポイントもそれぞれで異なってくる。留意したい点を紹介しよう。

ブーツ

甲のみならず、ふくらはぎまで覆うブーツはもっとも安定感が高い。とはいえ踵をしっかりホールドし、つま先にゆとりがある構造は靴選びの最低条件だ。ブーツに欠かせないファスナーの仕様はサイドファスナーのタイプがスムーズな着脱を考えるとベターだ。

パンプス

ヒール寸がそこまで高くなければ問題はないが、指股が見えるほどトップラインが浅いタイプは避けたい。履き込むと革はどうしても伸びてくるので、踏ん張りがきかなくなり、疲れやすい。試し履きの際は気付きにくい部分なので注意が必要だ。

サンダル・ミュール

足を覆う面積の少ないサンダルはもっとも靴選びを慎重にしたい。前に滑らないよう、ストラップなどできちんとホールドするタイプであることが肝要だ。踵のないミュールの場合はトップライン(履き口)が深く、甲を包み込んでくれるタイプを選びたい。

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