Creative: Oriental Shoes
オリエンタルシューズ:原点回帰を目指した オリエンタルシューズ
2014年発行 「日本の革 7号」より
常に奈良の靴産業をけん引してきたリーディングカンパニー、オリエンタルシューズが現在、推し進めているのは手仕事を駆使した靴の復権である。
先んじて機械生産の態勢を整えたオリエンタルシューズは海外にも深く潜行していた。時代の潮目を察知したということもあるけれど、兄の勉さんから社長の座を譲り受けた正剛さんは原点回帰を打ち出し、〜年かけてグッドイヤーウエルトのミシンなどを買い揃え、人材も補強。生き字引的職人も健在で、技術の継承も間に合った。
追い風となったのが、ファッション業界で知らぬ人はいない屈指のシューデザイナー、坪内浩さんと出会い、取引がはじまったことだった。現場のモチベーションはあがり、そして新たな取引先へと広がっていった。
「まだ端緒についたばかり」と正剛さんは謙遜するが、短期間に生産態勢の精度を高めた余勢を駆って来春、オリジナルをローンチする。出し縫いのみミシンに頼る九分仕立てへの挑戦もはじまった。旗ふり役は勉さんの長男、英智さんである。
兄の勉さんから社長の座を譲り受けた正剛さん(右)と、勉さんの長男、英智さん(左)
オリジナル、シューテイラーバイオリエンタルシューズ。エレガントな佇まいを目指し、マッケイグッドを採用している。絞り込まれたウエスト、中央を屹立させたフィドルバック、半ガラス仕上げ、ピッチトヒール、両爪…いずれも手仕事なしでは成立しない意匠である。革も超一級のものを使用している。
底付けの縫い物工程は、10年のキャリアがある中岡さんが担当する。
製造現場も企画のチームも若いスタッフが多い。