Creative: Moriyoshi
モリヨシ:手間を惜しまず 一枚の個性を薄化粧で表現する
2014年発行 「日本の革 7号」より
ニッポンの革の集積地のひとつ、たつの。多くのタンナーが集まるこの地では、各社得意とする革がある。しかし、家具用の革をなめす工房は、実は多くはない。ある程度大きな規模の設備が必要ということもあるが、家具屋さんが求める品質に対して対応できる職人さん減ってきているという現状もある。そんな中、アナログな「手塗り」を現在でも続けているのがモリヨシだ。薄く、それでいてしっかりと塗りこむ。機械ではできない技。薄化粧で仕上げることで、革の天然の表情をいかしながらも丈夫で柔らかい。ここ最近、そんなナチュラル系の革張りソファが人気だ。最新技術の研究開発で新しい革の可能性を探る同社では、その需要に応えるには昔ながらの技術が一番という判断をする。そうして生まれた椅子張り用の革。銀面の美しさをそのままに、椅子に必要な強度を併せ持つ。椅子張り用にこだわった革だ。現在、家具に求められる革は多様になってきている。応えるようにタンナーもまた様々な技を駆使して新たな革の表情を生み出しているのだ。
モリヨシの工房の一角。美しい色合いの革が並ぶ。
なめしから塗装まで、多様なオーダーに対応するさまざまな技術と機械。伝統的な技を継承しつつ、新たな技術の開発にも力を入れている。温故知新。革はそうして新たな表情を魅せてくれる。
色の確認のためにモリヨシでは皮革卸会社、家具メーカーと光源を合わせた部屋を持つ。同じ条件下でチェックすることで、微妙な色のリクエストにも対応できるのだ。