Creative: Coruba
コルバ:伝統の技に現代感覚をミックス 進化する京友禅
2014年発行 「日本の革 7号」より
日本が誇る京友禅で革を優美に染めあげた、革友禅。同社では前身の桝本商店時代から京友禅を「更紗」と呼んで、小物に使っていたという。2代目である桝本武典さんが、皮革部門を独立させたコルバを設立後、この伝統ある京友禅を見直し、現代の感覚を加えた「優彩」ブランドを始めた。
染め物は父の代から付き合いのある京都の熟練職人に依頼。当初は既成の版を使用していたが、本来着物に使われる京友禅を、バッグや財布にしても違和感がないようアレンジを加えた。和の花柄しかない友禅に、ポピーやパンジー、小花柄などの型を新しくつくり、色も柔らかな中間色でオリジナリティを出す。ここに至るまで数々の困難があった。まずは求める色が出ない。
また革が硬いと染まりやすいが、ネット貼りが大変で、逆に柔らかいと柄が割れる。硬めの革をステーキングマシンで揉みほぐし、柔軟性や弾力性を与えた独自の革を開発することで、色柄鮮やかに染められるようになったという。「手捺染といって色ごとに版をつくり、一版ずつ手作業で色を重ねていくのですが、使う色が多くなれば版も増え、手間もかかります」。
最近では友禅革にエナメル加工を施す試みも。革に透明なポリウレタン塗装を施すことで耐水性をもたせ、クリアで優しい艶が友禅染めを引き立てている。革づくりから縫製まで一貫して国産にこだわりたいという桝本さん。「革の加工のすべてを京友禅でやってみたい。まだまだ可能性はあるはずです」。
国産にこだわるコルバでは、自社で若い職人を育てたいと、サンプル師やベテランの職人による、技術の伝承がおこなわれている。
寸分と違わない革の貼り合わせ面を見れば、職人の手による切り出しの正確さが確認できる。
友禅染は染色のひとつで、繊細な糊置きの技法と多彩華麗な絵模様と絵柄を縁取る優美な白線が特徴。この白い輪郭線は防染のために糸目糊を置くことでできるもの。創始者は江戸時代中期に京都で活躍した、扇面絵師の宮崎友禅斎といわれ、京で生まれた京友禅の技法が後年、友禅斎本人により加賀藩の城下町金沢に持ち込まれ、独自の発展を遂げたものを加賀友禅と呼ぶ。