Creative: Jay Jay Japan Inc.
ジェイジェイジャパン:靴の顔=アッパーを TPOに合わせ自由に着せ替え
2015年発行 「日本の革 8号」より
服と同じように、靴も手軽に履き替えられたら。それも携帯用の簡易なものではなく、しっかり足をホールドし、街履きに耐えうるもの。「Jay Jay Japan」の安藤さんが海外出張のとき、ふと感じた、そんなアイデアが形になった。そのためにはアッパーとソールを切り離し、アッパーだけをTPOに合わせて着替えればいい。問題はいかにアッパーとソールを、違和感なく装着するか。マジックテープや磁石などで試し、最後にたどり着いたのはファスナーだった。そこから一年間かけてつくり込んだ。なにせ、この靴には吊り込みの概念がない。これまで靴づくりのセオリーになかった製作方法ゆえに、手探りで何十足もつくっては完成に近づけた。「ローファーも完成しましたし、シーズンごとにソールも展開して、いずれはチャッカやムートンのブーツも手がけてみたい。組み合わせには、無限大の可能性がありますから」
「夢は海外進出」と語るCEOの安藤“Jay Jay”友介さん。昨年ミラノの展示会で注目を集め、革製品の国際見本市「APLF」で最高賞も受賞。来春より海外での販売も決定。
ブランドカラーでもある、ファスナーの赤。アッパーサイドがジョニー、ソールがジェシー。そしてこのファスナーがふたりをつなぐ赤い糸という設定。倒すと固定するファスナーのエレメントが、衝撃から足を守る。
通常の靴と違い、先芯がないため、つま先の厚みと強度のバランスが難しかった。ソールの重みでホールド感を持たせるために、カップインソールを使用。
裁断からアッパーやソールに、それぞれファスナーを付ける組み立てまでは、安藤さん自身でこなす。ファスナーのエレメントは同じ規格でも誤差が出るため、噛み合わせ次第でシワが寄ったり、シルエットまで変わってしまう。「つくり込みの計算値の取り方が難しい」
家業がケミカルシューズ製造業のため、革靴づくりへの憧れがあった。「いつか、タンナーとのコラボもやりたいですね」